2014年1月9日木曜日

倭城マラソン(24) ヤンサン(梁山)城

12月15日(日曜日) 午前  短命のヤンサン(梁山)倭城


ヤンサン倭城を攻めるのは初めてではありません。行くたびに見落としたものがあって「また来よう。」と3回目になってしまいました。ヤンサンはキメと同じようにプサンの隣の市ですが、ひとつの大都市圏を作っています。プサンからは列車でも地下鉄でも来られます。

きょうはプサン駅から韓国のJR,Korail の列車で行きます。

ところが Korail がストライキ中で間引き運転をやっています。もっと早く出発したかったのですが、9時25分発のムグンファ号まで運転中止。朝食をすませてもしばらく部屋で休む時間がありました。連日の城攻めで少し疲れが出てきたので実はホッとしました。
ナクトンガンの岸辺黄色く○でかこったのがヤンサン倭城
 真下の X はクッポ倭城  中間のホポ倭城は消滅

列車はナクトンガン(洛東江)に沿って北上、30分弱でムルグム(勿禁)駅に到着。ここから12,3分歩いてラクダのコブのような山に向かいます。慣れた道になりました。

どんな城でもしばらく歩きまわると自分なりのとらえ方というかイメージが出来上がるのですが、ヤンサン倭城は自分の中で焦点が定まらないのです。どういう城なのか、とらえどころがないのです。まだ見ていないところが2か所ありますが、そのせいでしょうか。北の斜面に掘られた空堀と南側の居住区です。
今回の登城ルート
「倭城」から堀口健弐さんの縄張り図をコピーして使用


ラクダのコブからコブの稜線に沿って曲輪群が長く伸びています。今日の城攻めはヤンサン倭城しか予定に入れてありません。時間をかけてじっくり見たいですね。
ムルグム駅を出て南を見るとすぐわかります。比高110メートル。

慶長2年(1597年)の後半に黒田長政が築城、父の黒田官兵衛とともに在城しました。しかしその年から翌年にかけウルサン籠城戦が勃発します。援軍の到着が遅れたのをきっかけに、半島の沿岸に沿って長く伸びた防衛線を縮小しようとする動きに発展します。その流れでこのヤンサン倭城も築城した翌年に廃城になりました。使用期間は数か月ではないでしょうか。倭城では最も短命です。

ほとんどの倭城が海岸線に沿って海に面しているのに対してヤンサン倭城は北を向いています。北から敵の襲来を予測したものと見られます。山の北側斜面が比較的緩やかなので、尾根上の長い曲輪の真下を長い空堀で補佐しているのはそのためとみられています。
ハイキングコースが整備されています。南側斜面への取り付き。

尾根上の曲輪群は両脇の登り石垣を除くと長さおそよ500メートル、幅は15~30メートルと細長い。主郭だけやや広め。石垣の状態は悪く、崩壊している部分が多い。高さも1メートル前後が多く、主郭周りで2~3メートル。篠竹と墓に埋め尽くされた個所が多く、移動が実に難しい。

主郭の石垣は枯葉におおわれて判別しにくくなっていますが、ちょっと手を入れればもっとはっきり見えてくるのではないでしょうか。天守台の周りの石垣はかなり崩壊が激しいようです。
城域内はほとんど竹と墓。

主郭 西側の虎口


形は分かりにくくなっています。

石垣は枯葉で見えなくなっています。カーブ、わかりますか?

天守台の周り

崩れてきています。
天守台内部 崩れた石を集めたのでしょう。

曲輪に沿って走る空堀は300メートルぐらいはあるでしょうか。かなり埋まって浅くなっていますが、形ははっきり分かります。



南側の居住区へ降りる道は登ってきた道の反対側にあります。かなり下ると村というか町というか、静かな集落に出ます。まとまった石垣は見当たりません。おそらく民家が使用したり利用することで、石垣は全体としての形を失ってしまったのではないでしょうか。それにしてもー

人の姿が見えません。

日曜日なのにみんなどこへ行ったのでしょうか。年配の人でもいれば尋ねることもできたでしょうに・・・また来るか。

それらしく見えますが、手が加わっているようで確証はありません。


この集落は南側を向いていて、北側の崖は半円形に取り囲む形になってきわめて安全で居心地の良い空間にあります。さんさんと降り注ぐ陽の光を浴びていると昼寝でもしたくなります。

前方にはホポ(孤浦)倭城が肉眼で確認でき(城跡は消滅)、その先にはクッポ(亀浦)倭城も近い。ナクトンガンの向う側に見える小山にも砦遺構があるといわれています。

黒田官兵衛、長政父子はおそらくこの城を気に入っていたのではないでしょうか。周りにこんなに仲間がいる上に陽が照ると・・・。

尾根から見たナクトンガン ①ホポ倭城(消滅) ②クッポ倭城  ➂砦跡
集落を取り巻く背後の尾根





























石垣などの遺構は埋もれたのか、持ち去られたのか、見えないだけなのか、とにかく消えつつあります。尾根の曲輪はヘリポートがあったり、運動具が置いてあったり、多角的に利用されています。南側は住宅地ですが、北側は公共施設を建設中で、かなり削り取られています。行くたびに都市化の波が見えるようで、残念です。でも想像する意力さえあればたっぷり楽しめます。まだまだ。

プサン駅~ムルグム駅 
ムグンファ号が一日に数本 約30分 料金2600ウォン(約260円)


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