2013年2月27日水曜日

滝の城 郭に井戸を埋めた跡



   埼玉県所沢市の滝の城(じょう)はこれまで11回発掘調査をしている。おかげで城のおおまかな形は見えてきているが、さらに史跡として整備するために追加の調査が進められている。
   現在2回目の調査が進行中。その2回目の調査であらたに発掘された場所、出てきた遺構の現場説明会が今月2日にあった。

外堀になる柳瀬川から見た城域(黄色い線)

   その中で参加者の注意を引いたのは3の郭を掘ったら埋めた土の層が幾重も重なって出てきたことだ。もともと3の郭は中ほどがへこんでいるために「何かある」と思われていたそうだが、6メートル掘り下げてもまだ底にたどり着かない。ひょっとして井戸ではないか、とさらに掘り進む予定だ、と聞かされた。

   今日は2月27日。発掘は明日終わるはず。はたして井戸なのか、はたまた雨水を溜める穴か?3週間ぶりに滝の城に行った。

発掘の行われている馬出し(手前)と三の郭(奥)



   発掘はまだ続いている。邪魔しないよう、そっと三の郭の写真だけ撮らせてもらった。深い。底は暗くてよく見えない。高いところが苦手な私は長くいると息苦しくなるくらい深い。8メートルは掘ったという。私には10メートルに見えた。

三の郭の発掘現場
 
かなり深い
   
覗きこむと・・・

 
    埋蔵文化財調査センターに問い合わせると、有識者に現場を見てもらい判断を仰いだ結果、井戸であると判断したという。やっぱり井戸だったか!井戸の底と見られる砂利が見つかったという。

   でもどうしてここに井戸が?

   水が人間に必要なのは言うまでもない。戦、特に籠城戦になると欠かせない命綱。城ならどこかに必ず水場があるものだが、郭にドーンと掘った井戸は見たことがない。しかも三の郭は空堀を挟んで主郭のすぐ隣、城の中枢部だ。

   初めから曲輪内に掘った可能性もあるだろう。しかしここは北条が後から入ってきた城。しかも拡張している。北条が城を造り変える時に籠城戦を意識して城の中枢部に井戸を掘った、とも考えられる。籠城戦なら、やはり秀吉との一戦を意識して?

   三の郭は周囲を空掘がとりまき、しかも8メートルの高さがある。井戸ならそれ以上の深さがないと水は得られない、と見られていた。今までに掘り進んだのは空掘の底と同じくらいの深さになる。ちょっと少ないのでは?

空堀から見上げた三の郭

   かってに想像して楽しむのは今のうち。所沢市は3月に入って「井戸穴」を対象にした見学会を予定している。発掘箇所は3月になると規定でただちに埋め戻して「原状復帰」しなければならない。井戸以外の発掘箇所をまず埋めてから「井戸」を見学させてくれるそうだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿